『素描21』
子ヤギが2匹、屋根の上で愛し合う。
その覆われた毛だけでは、寒さを凌げずに、丘へと飛び降りる。
清涼感のある緑があたり一面に広がり、たなびく雲が心を躍らせる。
目線を外すと、キャンプ場で火を囲み談笑しあう彼らがいた。
摩耗した人の肖像のように、それらから執着と敬虔な心を得た。
同時に、あらゆる隙間に入り込む手段を覚えて、入力と出力を同時に行うイメージをする。
雪に溶けていった過去を思い返して、左利きの人数を、行進していった人々を。
子ヤギは姿を消して、待たされた風だけが丘の上に吹いている。